絵コンテ なかむらたかし
演出 なかむらたかし
演出補佐 鏑木宏
作画監督 長沼範裕、北山修一、佐久間康子
作画監督補佐 鳴海聖子、鈴木麻衣子
最後の10年後…で賛否両論ある気がします。とりあえずわたすの見解はいちばん最後に。
打ち寄せる波。暗く閉ざされた空。そんな狭間に横たわるトーマ。
はたと正気に戻り、ヘルガを探しに走るトーマ。カラスのCGが冴える。
トーマの前にスライドしてくるヘルガ。トーマはヘルガを起こして安心する。
と、思ったのも束の間、苦しみだしてヘルガを抱くトーマ。
オッコトヌシのようなドロドロした血とともにトーマはセスへと変わる。
「ティナ…許してくれ、許してくれ…!ソランを殺したのは、僕なんだ。ティナ、僕がソランを殺したんだよ」
その言葉が信じられないヘルガ=ティナ。
それでも頬に涙を流しながら本当だと伝えるセス。
「僕は、ずっとトーマの中で、苦しかった…!トーマになりきれなかった。僕は、ティナ…君に謝りたかった。君に、謝りたかった!」
そして現れる閻魔。セスは立ち上がる。
「君は、ここにいてはいけない。戻るんだ、ティナ」
セスは閻魔の前で手を広げ、ヘルガ=ティナを守ろうとする。
「生きてくれ、ティナ。君は、生きるんだ!」
閻魔の衝撃を体で受け止め、海上に浮かぶセス。
ヘルガはセスの元へ走り、セスに叫ぶ。
「セス!あなたはトーマなの!あなたが死んだら、トーマが死んでしまう!」
「今生きてるのはトーマなのよ!お願いセス、トーマになって生きて!」
ヘルガの人生を生きると決めたティナは、セスにもそれを願う。
「トーマは僕だ。僕の罪は、トーマの罪だ。だから、ソランと君に、死んで償う。生まれ変わって生きる気はない」
沈黙。
「セス、死んでも償いにはならない。トーマとして生きて、周りの人を幸せにするの。それが、本当の償い」
セスは首を振り、ゾーンが近づいてきていることを察知し、早く戻るよう再度伝える。
「セス…、そんなに、そんなにあなたは傷ついてしまったのね。セスはいつも私を守ってくれた、ソランのことも許してくれた。それが本当のセス、優しいセス」
「あなたが死ぬと言うのなら、私も死にます!」
ヘルガはティナへと戻り、セスに抱きつき、顔を埋める。
「ティナ…あぁっ…ティナ…君は、僕のために、僕の…ために!」
ティナは倒れ、セスはそんなつもりじゃなかったと狼狽する。
「僕は、僕は、そんなつもりじゃなかったのに!また君を不幸にしてしまう。死んではダメだ!ダメだ!死んではダメだ!ティナ、ティナ!」
セスからトーマへと戻り、「死んじゃダメだ!ヘルガ」と叫ぶ。
ヘルガは目を覚まし、トーマは「トーマとして生きる」と決意する。
二人は狭間を脱出する。「生きるんだ。ヘルガと同じ地球で。同じ時代を。同じときを。」
目覚めたトーマ。看病ソレトはかわいさ3割増し。
「セス様だったのね。ずっと、ティナ様のそばで守っていたのね」
たとえ記憶をなくしても、想いがあったから再び出会った二人。
ソレトもアギとの再会の可能性を、トーマとヘルガの二人に見出す。
やっと意識を取り戻したヘルガ。「ありがとうトーマ」とまずお礼。
ヘルガはリュックを見てデュマのことを考える。
ソレトはアギにトーマとヘルガの無事を伝え、アギはほっとする。
デュマは転生装置を消去する。
病院でベフォールズに見守られる中、ゲルタ=メルは目を覚ます。
ソレトはパルザのレコードをゲルタに渡す。
これでベフォールズの役割は終わった。(映るのは宇宙船に運ばれるゲオルカの死体)
元の体に戻るならギリシアまでの船を出すと言うデュマ。
地球に残ると決めたアギとハスモダイ。
「今度こそ、21回目の人生を、与えられた人生を生きるんだ」
いちばん帰りたがっていたのに、帰れなかったヒースマに思いを馳せるタルラント。
ヘルガとトーマの前世の記憶もベフォールズと同じように12歳で消えてしまう。
ゲルタの記憶も一時的なものですぐに忘れてしまう。
12歳になれば自分のこともギリシアのことも忘れてしまうベフォールズ。
ソレトはアギに訊く。
「また、会えるかしら?」
「きっと会えるよ」
詩を詠みはじめるロマンチスト・ハスモダイ。
私の頭上の 青空を旅する雲が
私に ふるさとへ帰れと言っている ふるさとへ
名も知れぬ 遠い彼方へ
ふるさとよ おまえの 青い美しい岸を 私はついに見ることはないだろうか
でも やはり私には この南国の近く 足の届くところに
おまえの岸辺があるに違いないと 思われる
宇宙船内、庭園でデュマはティナの肉体にこう話しかける。
「姉さん、この庭園を姉さんにあげます。これで、姉さんの止まった時間は流れていきます。ここは永遠に、姉さんだけのものです。僕は今日限り、僕の心の時間を止めます、永遠に」
チットに施設へ戻ろうと言い出すヘルガ。またいじめられると心配するチット。
「もう大丈夫。私のこの胸の中にはたくさんのものがあるの。強く生きていかなくちゃね、チット」様々な経験を経て全く別人になったヘルガ。でもトーマスルーは相変わらず。
「ヘルガ、きっとソランに会えるよ。俺に、セスに会えたのがその証だ。きっと会いに来る。あいつはそういう奴だ。」スルーに対して身を引いて答えるトーマ。大人になったなあ。
3人を温かく迎えるトーマの母ちゃんと父ちゃん。
黒髪に戻ったトーマは寺院の先端でドラクエキャラのような動きをする。
アメデオを肩に乗せ、遠い空を見つめるその表情はすがすがしい。
そして、時は流れ、十年後。
ヘルガ先生が子どもたちを育てる施設。
そこへやってきたのは黒髪のソランそっくりな冒険者。
彼は、ヘルガの絵を見つめ、そのことを尋ねる。
青年の左腕には彫り込みが。生まれた時からあった痣。
ヘルガはそれを見て「ティ…ナ」と読む。
見つめ合う二人。ティナとソランのエピソードをバックにエンドロール。
テーマソングは「Voyage」(Full Version)
アーノンとクリスティーナ、セラフィーヌ、そしてベフォールズが映る。
そして最後に仏像の手の平から空を見つめるヘルガ。
関連
ファンタジックチルドレン 第25話「ゾーンへ」
収録巻:DVD第7巻(第23話、第24話、第25話、第26話収録)
24話から今作の主題となった「セスの贖罪」はソラン(青年)の登場で完了したわけですか。
じゃあいろいろ疑問とか感想とか。
・「ヘルガの人生を生きる」のにどうしてソランを待つの?
私のここにある命は、もうティナ一人だけのものじゃない。
セラフィーヌもクリスティーナもソランの言葉を信じ、生き抜いた人生、それは今の私も同じです。決して不幸ではありません。(いずれも20話)
セスのように前世の意志によって、生きている人(トーマ)を殺したりすることは許されないけれど、それまでの人の意志を引き継ぐことは(ヘルガの選択としてなら)アリ。ってことなんだろうね。
ヘルガと青年の出会いによってセスの贖罪と「宇宙の片隅で愛は再びめぐり逢う」物語が終わり、新しいヘルガの物語が始まった、って理解でいいのかな。
・チットの役割は?
トーマとヘルガはギリシアに関わる記憶をなくしてしまったから、一連の事件の証人?
(ガンダムオフィシャルズにUC0090年代にアルがポケ戦を語ったって記述があるけど、そんな感じ)
・青年(ソラン)は何なの一体?
トーマがあれだけ苦労して、ヘルガを探したり、狭間から救ったりしたのに、急に現れて不自然な笑顔で!という気持ちもわかりますが、ソランとティナの物語の〆としてはまあ納得できるものだと思います。
(それにしても現代ソランがもう少しストーリーに絡んできてもよかったと思うけど)
・トーマとベフォールズのその後は?
DVDでは描いてくれよ、たかし!
本編では2月末にコンテ上がったっていうタイトスケジュールだったから仕方ないけど。
・トーマ、セスは大神ソウマ(神無月)、フランツ(巌窟王)みたいな報われないキャラですか?
セスは違うんじゃないかなあ。自分で納得してるし。
トーマは可哀想だけど、ただそのこと全部忘れちゃってるだろうから…。
・とりあえず、これからどうします?
とりあえずメイトで設定資料集買ってきます。それで一枚絵でも描いてみようかと。
・ベフォールズキーホルダーって気になりませんか?
ワンダーがあるなら無条件で買いです。タルラント、ハスモダイでも可。
ファンチルは最初から見ていたので、ここもよくきてたんですが初コメントします♪
今回は涙がボロボロ大感動でしたよ。
狭間でのセス・・・
パルザのレコードに涙するメル・・・
トーマの側で心配そうに見つめるソレト
地球で生きることを決めたベフォールズ・・・
トーマ(セス)は最後に希望の言葉をみんなに与えた。
ティナにも・・・
大泣きです。やっぱ最初から惹かれた作品だけあって
もう見られないのが残念でたまらない〜。
私は、出来る事なら、セスを、トーマを、デュマをもう少し幸せにさせてあげたかったですよ。
もう少しティナは報いてあげてもいーじゃない・・・ケチ。
ヘルガ&ソランはとてもベタで想像しやすいので
個人的にはトーマのその後が知りたかったです。
こんばんは。とうとう最終回でした。
ティナとソラン、結末はOKですがちょっと物足りない。
たぶん、ベフォールズやデュマ、トーマがどうなったのか、幸せになっているのかが描かれてないせいかなぁと思います。
クックス警部やアリスはどうしたんだろうねぇ?
最後ぜんぜん活躍なかったですね。
はじめまして。
見てる側としては、セスが、トーマがどれくらいティナ=ヘルガのために力を尽くしたかずっと見てきてますから、やっぱりもうちょっとうれしい結果だったら、と思いますよね。
時間の都合もあるんでしょうけど、やっぱり私もトーマのその後だけでも見たかったです。
>カメリアさんへ
ちょっと足らないかな、と思える終わりではありましたね。
総集編分を本編に当ててたら…と言ったって遅いですけど。
クックスやアリスは前半はちゃんとしたプレイヤーだったけど、後半は完全に傍観者になってましたね。
視聴者に状況を説明する役になってしまっていた気がします。